私の原点、海洋サスティナプランナーへのきっかけ

私の原点、海洋サスティナプランナーへのきっかけ

私は、スキューバダイビングで水中世界を覗くたびに海の魅力に惹かれて好きになっていきました。それと同時に多くの環境問題によりこの美しさはこのまま続かないことも知り、私にできることがないかと考えて行動し始めたのが私の行動の原点です。国立大学法人東京海洋大学海洋科学部で水圏環境教育学を専攻し、卒業後も自身が在籍していた研究室主催の水圏環境教育イベントのサポートや、様々な地域の環境イベントへの参加、アドバイザーとして活動してきました。

海洋環境の保全に携わる「海洋サスティナプランナー」という道を歩み始めたのは、沖縄のムーンビーチミュージアムリゾートに宿泊した経験がきっかけでした。目の前に海を望むことができるとても素敵な環境で、今でも本当に感動したのを覚えています。沖縄北部の恩納村にあるこのリゾートは、なんと沖縄最古のビーチリゾート。長きにわたって自然や海の素晴らしさを多くの方が感じることのできる場所であったと思います。私はこの場所を回る中で「ここで環境プロジェクトの企画・実施ができたら多くの方が関心を持ってくれるのでは!」と思いホテルのスタッフ様に提案したところから始まりました。


私が目指す海洋サスティナプランナー

「海洋サスティナプランナー」は、海洋環境を保全し、その魅力を多くの人々に伝えるための計画・実施・推進を担う役割を指します。この言葉は、私が自身の活動を表現するために生み出した造語ですが、その意味するところは、海洋環境に関わる多様な課題に向き合いながら、教育プログラムの開発や環境プロジェクトの企画・運営、地域社会や企業との連携を通じて解決策を提案し、実行することだと思っています。

具体的には、環境に配慮した商品やサービスを活用したプログラムを設計し、その効果を社会に発信すること。また、ブルーカーボンのような自然生態系を活用した気候変動対策にも携わり、生態系や生物多様性を保全する取り組みを推進すること。さらに、地元や国際社会と連携し、持続可能な海洋環境の未来を共に考え、行動するための橋渡し役ができたらと考えています。

海洋サスティナプランナーの活動は、企業や教育機関と協力して社会全体の環境意識を高めるだけでなく、次世代を担う若者たちに、環境保全やサスティナビリティへの関心を育む役割も持っていると思います。そのため、この仕事は単に環境を守るだけでなく、多くの人々を巻き込みながら、海洋の未来を共に創造することを目指していければと思っています。

海洋サスティナプランナーの本格的な活動として初めて取り組んだのは、海洋リテラシー育成プログラムの開発でした。海洋環境教育のプロフェッショナルであり多くの環境教育リーダーも輩出している大学研究室と協力し、地域の特色を生かした教育プログラムを制作。環境に配慮した商品がどのように海洋環境を守るか、良い影響を与えるかについて、研究室にて実証実験等を行い、目に見える形で環境に配慮された商品を選ぶ大切さを伝えられるようにしました。

また、企業や地域と連携し、環境に関心を持ってもらうための取り組みも行っています。来年度予定している沖縄でのプログラムも充実した内容になる様、各関係機関との打ち合わせや企画を進めています。

近年注目されているのが「ブルーカーボン」の取り組みです。海洋や沿岸生態系がCO2を吸収し、長期間貯蔵するプロセスは、地球温暖化の進行を遅らせる可能性を秘めています。そのため現在、国際社会や多くの企業から、このような自然生態系を活用した気候変動対策に大きな期待が寄せられています。工学的・化学的に温室効果ガスを吸収させる手法より、生態系と生物多様性を保全しつつ、継続的に作用させる点も魅力的だなと感じます。

その中で特に私が注目しているのが、海藻やマングローブの活用です。例えば、静岡県熱海では藻場の再生プロジェクトがあります。このプロジェクトが解決を目指す問題は、ブルーカーボンにも欠かせない藻類の一種であるカジメが熱海の海底には繁殖していましたが、これが減っている現状です。そこで、まずは藻場の状況の把握から行い、必要な場所には藻場を再生する取り組みを行なっていく予定です。私も打ち合わせ段階から参加させていただいており、今後調査が進みますので 進捗をリアルタイムで皆さんに共有できたら嬉しいと思っています。ブルーカーボンにも生物の餌としても大切な藻類を未来に残していくためにできることをしていきたいと思っています。


私たちにできること、そしてこれから

海洋環境の課題解決には、一人ひとりが環境問題に関心を持つことが大切だと感じています。例えば、「自分の行動が環境にどう影響を与えるのか」を知ることが、最初の一歩です。そのために私は、学びの場やプログラムを通じて「環境問題を自分ごとに感じるきっかけ」を提供したいと考えています。五感を通じて自然を感じる体験、例えば海風や潮の香りがもたらす癒しも、環境保全に関心を持つ第一歩になるのではないでしょうか。

海洋サスティナプランナーとして、さらに多くの地域で海洋リテラシープログラムを展開し、地域の海洋問題の改善に貢献することを目指しています。まずは関心を持ってもらうことが大切かなと思いますし、自身の行動と環境が意外と身近につながっているんだ!では自分にはなにかできるかな。と思えるようなきっかけづくりができたら嬉しいです。

羽澄アリサ

海洋サスティナプランナー、モデル

国立大学法人東京海洋大学 海洋科学部水圏環境教育学専攻

幼少期より、スキューバダイバーの母と世界各国に一緒に行き様々な海洋環境を目の当たりにする。そこで教育が行き届いていない国ほど、環境保護意識が欠けていることを感じ東京海洋大学に進学、水圏環境教育の分野を研究。現在様々なエシカルプロダクトに携わり、海洋サスティナプランナーとして環境プロジェクト企画やアドバイザーとして活躍中。

https://www.instagram.com/arisa28lucia

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